「意味ない」と感じやすいのは、この2つを期待したとき
施術する側から見て、期待と実際がずれやすいのは次の2つです。
- 小顔になりたい
- リフトアップしたい(それも1回で)
どちらも、美容鍼が主役になりにくい目的です。骨格や脂肪の量が関わる変化に、鍼は届きません。
施術直後にすっきり見えることはありますが、それはむくみが抜けた見え方の変化で、戻ります(→ 効果はいつから?)。
よく使われる説明に、根拠はあるか
サロンの説明には、施術する側でも疑問に感じるものがあります。代表的な3つです。
「表情筋のコリをほぐして小顔に」
- 表情筋が凝って顔が大きくなる、という根拠は確認されていない
- 提唱されている説はむしろ逆方向で、表情筋の繰り返しの収縮が加齢とともに顔の構造的な変化につながるという理論。顔が大きくなる話ではなく、老け見えの話
- ただし噛む筋肉である咬筋は別。張ると顔の幅に影響しうるため、こわばりをゆるめる余地はある(サイズ縮小の根拠は限定的)
表情筋と咬筋を混ぜた説明には注意してください(→ エラの張り)。
「頭皮を引き上げてリフトアップ」
- 頭や側頭部に鍼を打つ手技はよく行われている
- ただし、それで顔が引き上がる根拠は確認されていない
- 目の周りがすっきりする感覚は起こりえるが、「引き上がる」とは別の話
「顔の血流が上がって美肌になる」
- 首肩をゆるめると顔の血流が改善する、という説明はよく聞く
- ただし、そこまでつながることを示した研究は見当たらない(→ 首こり・肩こりで顔の血流は悪くなる?)
期待できる範囲
否定ばかりではありません。次の3つは、受けた人から挙がりやすい変化です。
- むくみ感が軽くなる … 軽度で一時的なものに限られます(→ むくみ)
- 目の周りがすっきりする … 頭部や側頭部への施術で感じる人がいます
- 寝つきがよくなる … 鍼と睡眠の報告はありますが、美容鍼で確かめられてはいません(→ 睡眠の質と美容鍼)
いずれも「一時的」「軽度」という条件が付きます。劇的な変化を求める施術ではありません。
「小顔にしたい」の中身を分けて考える
ここが一番大事なところです。
同じ「小顔にしたい」でも、その裏にある悩みによって答えが変わります。
- 骨格や脂肪の量を変えたい … 美容鍼は向きません。別の手段を検討してください
- むくみを取ってすっきりさせたい … 期待できる範囲に入ります
- 食いしばりで張った顎をゆるめたい … 咬筋へのアプローチとして合理性があります
「小顔になりたい」とだけ伝えて受けると、期待と実際がずれます。何が気になっているのかを具体的に伝えたほうが、お互いに判断しやすくなります。
予約時やカウンセリングで、「むくみが気になる」「食いしばりが強い」と伝えてみてください。
まとめ
- 「意味ない」と感じやすいのは、小顔・リフトアップを期待したとき
- 表情筋が凝って顔が大きくなるという説明の根拠は確認されていない
- 噛む筋肉である咬筋は別で、こわばりをゆるめる余地はある
- 頭皮の引き上げ、血流と美肌についても、根拠は確認されていない
- 期待できるのは、むくみ感・目の周りのすっきり感・寝つきまで
- 「小顔にしたい」の中身を分けて伝えると、期待とのずれが減る
美容鍼で何にどこまで期待できるかは、こちらで悩み別に整理しています(→ 美容鍼の効果は本当にある?)。
参考文献
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Le Louarn C, Buthiau D, Buis J. Structural aging: the facial recurve concept. Aesthetic Plast Surg. 2007;31(3):213-218. doi:10.1007/s00266-006-0024-9. → MRIを用いて表情筋と脂肪層の形態を年代別に比較した研究。表情筋の繰り返しの収縮が構造的な老化の主因とする理論を提唱している。要旨のみ確認。
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Yun Y, Kim S, Kim M, Kim K, Park JS, Choi I. Effect of facial cosmetic acupuncture on facial elasticity: an open-label, single-arm pilot study. Evid Based Complement Alternat Med. 2013;2013:424313. doi:10.1155/2013/424313. → 顔・頭・首の筋肉に鍼を打ち、弾力の変化を測定した小規模な研究。対照群がないため、変化が鍼によるものかは判断できない。
※頭部への施術で顔が引き上がることを示した研究は確認されていません。表情筋のこわばりと顔の大きさの関係を調べた研究も同様です。








